2022年1月のベストアルバム6「無=時間的、舞踏のざわめきと消失。つまりアンサンブル」

●闇夜の電子音楽。UKの暗き時代。「集中」が喪失する感覚。聴くほどに遠のくような、忘却のサウンド・スケープ。喪失。鬱。時代。失われた未来。ただ続く時間、持続。夜は消失と喪失の無=時間的な感覚の場所。地上にひとつの場所。いや複数のかもしれない。都市は崩壊し、音楽もまたソンビになった。壊れゆく都市のための無=時間的な音響劇。アンチダウン。

--

●新しいゴシックの時代におけるエクスペリメンタル・ミュージック。コラージュの時代。不穏の時代。不安の時代。黒と光の音響ノイズ・アンサンブル。聴こえてくるのはなにか。何か。讃美歌とノイズ。声と消失。コラージュと崩壊。そのすべてをつなぎとめる不思議なエレガンス。聴いている時間が消失する感覚。複数の歴史たちへ。

--

●声と喪失の儀式のように音響は生成し、砕け散る。そのさまはまるで未知の舞踏のように舞い踊るだろう。抽象的な音。自身の声と体の自覚。そして音が生成し、世界の崩壊へと繋がるとき。彼女の音楽には絶望と抵抗と希望と喪失と獲得のすべてがある。あなたの/わたしの/世界のレクイエム、オペラ、ノイズ、そして声。都市から個へ。個から実存へ。

--

●連続と不連続の交錯。ロックが瓦解し、ロックが生成するとき、アンビエンス/アンビエントがアンサンブルの中に生成する。ノイズの向こうにあるもの。協働。エゴの消失。新しいサクリファイスへ。

--

電子音楽新古典主義とでもいうべきか。形式の援用と形式の応用。古典の瓦解が生み出すサウンド・スケープに放たれる音の信号と電子音と管楽器のアンサンブル。

--

●ハープの音と環境音による記憶/ノスタルジアの現在からの再生と蘇生。ハープ。機関車。環境音。音の記憶と記憶の音のズレから生まれる新しいエクスペリメンタル・ミュージック。観たことのない、永遠に映像を欠いた映画のように音響が記憶の中に生まれる。舞う。音の実験舞踏のように。幽霊のように存在する音たち。ゴーストノイズの彼方に。