2024年3月のアルバム

①Klara Lewis & Yuki Tsujii『Salt Water』(The Trilogy Tapes)

インダストリアル・ノイズ・アンビエントの極北を目指してるのだろうか。ループとノイズ。ノスタルジックなサンプリング。それがミックスされ未知のサウンドが構成されている。

 

 

②Mining『Chimet』(The Leaf Label)

2017年にイギリスを襲った台風のデータをもとに作り上げたアンビエント作品。電子音、持続、ピアノなどが折り重なり、静謐さと美しさを兼ね備えた美麗な音楽に仕上がっている。

 

 

③Laurel Halo『Octavia』(Portraits GRM)

EPだがあまりに繰り返し聴いたので選んだ。2023年の『Atlas』の系譜のアンビエントだが、その音の静かなレイヤーの精度はさらに高まっているように思う。

 

 

④Ben Frost『Scope Neglect』(MUTE)

強烈にして優雅。ノイズ、インダストリアル、エモーショナル。世界の極北へ。ベン・フロストが放つエクスペリメンタルミュージックのモード2024。

 

 

⑤Pan American & Kramer『Reverberations of Non-Stop Traffic on Redding Road』(Shimmy-Disc)

夢の中に落ちていくような音。現実から逃避して穏やかさの中にただ沈んでいくようなアンビエント

 

 

⑥Jasmine Wood『Piano Reverb』(AD 93)

教会に響く残響のむこうにあるアンビエンス。ピアノ・アンビエントの極北を聴いた。

 

 

 

 

2024年2月のアルバム

①Kali Malone『All Life Long』(Ideologic Organ)

All Life Long。一生を通じて探求すべきもの。それはすなわち「音楽」だろう。ここにあるのは真っ白な雪景色のような音楽。もしくは音の結晶のような音楽。カリ・マローンはパイプオルガンによるドローン作品でその名を知らしめたが、本作ではいわゆる「ドローン作家」の名から解き放たれ、まさに「作曲家」としての自身の力量をアルバム全編に渡って存分に展開している。声楽曲、管楽器曲、そしてお馴染みのオルガン曲はミニマムでありながら、「音楽であること」を全身で問うている。旋律と持続の関係だ。音とは何か。音楽とは何か。そして音楽が鳴っているこの人生とは何か。音楽家たちとの世界各国のコラボレーションによって録音・完成したこのアルバムは、はやくも2024年における重要なアルバムのひとつとなった。

 

②Ian Wellman『The Night the Stars Fell』(Ash International)

雪の夜、澄んだ空気の星空のようなサウンド。アルバム名どおり実にロマンティックなアンビエントである。環境音までも真夜中の星屑のように響く。雪の結晶のようなドローンは心を深く沈静させてくれる。Room40からリリースしてきたアルバムもどれも秀逸な出来栄えだったが、このアルバムこそ彼の現時点での最高傑作ではないかと勝手に思った。

 

③Eva-Maria Houben & John Hudak『Paloma Wind』(LINE)

〈LINE〉からリリースされたヴァンデルヴァイザー派の作曲家/オルガン奏者であるEva-Maria Houbenと、ウルトラミニマムな音響排人とでもいうべき米国のサウンドアーティスト John Hudakのコラボレーション・意外といえば意外な共作だが、音の方も双方のイメージから異なり、奥深く世界の只中に溶け込んでいくような環境音+ミニマルな音響世界を展開している。聴き込むほどに音世界の豊穣さに驚く。

 

④Rafael Toral『Spectral Evolution』(Drag City/Moikai)

ポルトガルのベテラン音響ギタリストのあまりにも素晴らしい新作。音の向こうに森があり、夏があり、気候があり、世界がある。40分の長尺サウンドスケープは音による/音楽におけるイマジネティヴな世界を生成・展開する。もしかすると長い彼の活動歴の中もでエポックな傑作といえるのではないか。どこかフェネスの『エンドレス・サマー』の音世界への親近性も感じてしまった。まさに現代の音響派、電子音響。

 

David Grubbs & Liam Keenan『Your Music Encountered in a Dream』(Room40)

デヴィッド・グラブスとリアム・キーナンのギター・デュオ・アルバム。乾いたギターの響きと、叙情的な音楽・音響世界にあのシカゴ音響派の残響が聴こえてくる。点描から持続へ。持続から響きへ。即興と再構成。ここに鳴っている音こそ真の音響派といえるのかもしれない。90年代から20年代へ。

 

British Museum『Satan Is a Roof Over My Head』(The Trilogy Tapes)

ローファイ・エクスペリメンタル・テクノとでもいうべきか。いわば謎に満ちた音。もしくは匿名性のむこうにある霞んだ音のうごめき。簡素な音とダークなムードがたまらない。ポストパンクからダブ、テクノからドローンなど、この40年ほどの電子音楽レフトフィールドで展開されたスタイルをしかし、簡素な音とダークなムードで、どこか心なく再構築していく。不穏と無に満ちた不可思議な電子音の魅力がここにある。クール。

 

 

 

 

 

 

2024年1月のアルバム

①Blanket Swimming『Archway』(Somnimage)

この過酷な世界において生きるものの心を休ませる必要がある。アメリカの南部出身のアンビエント作家による霞んだアンビエンスに浸っていると、騒々しい世界から離脱し、音と音が織りなす静謐なサウンドスケープの時間の中につつまれるような感覚を得ることができた。環境音。アンビエンス。微かなざわめき。霧のような持続音。夜の、森の音。真夜中のアンビエント。1月、もっともよく摂取(?)した音響空間/アンビエント音楽だ。

 

②Ian Hawgood & Wil Bolton『Floral Forms and Subsequent Interactions』(Home Normal)

こちらは朝のアンビエント音楽とでもいうべきか。澄んだ空気の中に溶け込むような美しいサウンドスケープが麗しい。どうやら「自然の相互作用が私たちに与えるポジテイブな影響」をモジュラーシンセサイザーで表現したアルバムという。

 

③Quatuor Bozzini『Jürg Frey: String Quartet No. 4』(Collection QB)

昨年のEliane Radigueといい、Sarah Davachi『Long Gradus』といい、今、もっとも注目すべき現代音楽カルテットの新作は、かつてヴァンデルヴァイザー楽派作曲家とよばれたJürg Freyの弦楽四重奏曲。神経質な演奏と静謐な楽曲のコントラストが素晴らしい。

 

④Pyur『Lucid Anarchy』(Subtext Recordings)

ベルリン在住のアーティストによるこのアルバムは、自己の激しい崩壊と再生を、その複層的なサウンドテクスチャーのエモーショナルな生成の中で昇華しようとする。いわば分解と蘇生のエクスペリメンタル・ミュージックに思えた。

 

⑤David Wallraf『The Commune of Nightmares』(Karlrecords)

この資本主義下において捨て去られる数々の残骸を、多様なノイズ音響作品として蘇生させていくこのアーティストの新作は、聴き手の意識下にある不可思議な日常のスキマ=真の世界の姿を、騒音の世界で現出させてくれるかのようである。

 

⑥Reinhold Friedl & Martin Siewert『Lichtung』(Karlrecords)

ドイツの実験音楽弦楽集団Zeitkratzerの創設者Reinhold Friedlとウィーンのポスト音響派バンドのRadianのギタリストMartin Siewertのデュオ作品。硬質なノイズ/音響が生成・暴発するようなアルバム。音響研究のような一作。

 

 

2024年のはじまりにむけて

・2024年が始まって21日もたってしまいました。今年最初の投稿は1日にすべきでしたね。

・今年の音楽聴取はもっと絞っていこうと思います。昨年もその傾向ありましたが、今年はその有限化(?)をもっと自覚的にやっていこうと思いました。サブスク時代は情報量が膨大というよりは、聴ける音源が膨大なので自分を見失ってしまいそうになるのですね。自分もういい歳ですし、そろそろ本当に「聴く」という行為と意味に自覚的でいたいなと思うようになりました。まあ、ただの言い訳かもしれませんが。

・ブログの投稿ももっと頻度をあげたいなと思うのですが、昔のようにブログ=日記という時代ではなくなり、それなりに「記事」であることが求められているので、こういう「垂れ流しお気持ち系」の日記風記事は、あまり意味がある行為ではないですね。「しずかなインターネット」の方にそういった「書き散らし系」の文を書いていこうかなとも(笑)。

・今年はアンビエントな気分ですね。もうそれだけでいいかなという。世間で流行っている今風の(?)アンビエントではなくて、アンビエント/ドローンな静謐な音楽というか音響です。音楽の強制力から少し浮遊した音空間が必要といいますか。音楽と音の「あいだ」にあるサウンドスケープを漂っていたいといいいますか。まあ、そんな気分ですね。もちろん気分なので途端に変わるかもしれませんが(笑)。

2023年 ベストアルバム 40

 2023年はまさに「喪失」と「不在」の一年でした。音もまた「存在」と「不在」の間を行き来するように音楽を聴いていたように思います。

 その結果でしょうか、アブストラクトなドローン、アンビエント、フィールドレコーディング作品、ミュージック・コンクレート/コラージュなどの音楽に例年以上に惹かれていました。抽象と具象のあいだにあるような感触が、不在と存在を思わせるからかもしれません。音と記憶。音と光景。音と喪失。

 今年選んだアルバム数は40作品です。少し多いかなと思いましたが、どれも思い入れのある作品ばかりです。いわゆるノンビートの静謐なサウンドスケープの作品が中心です。数作、ビート/リズムの入ったアルバムもあります。本来は統一感を出したいので外そうかと思ったのですが、後年、2023年を振り返るときに入っていないと意味がないと思っていれました。

 何はともあれ今回選んだ40作のアルバムは2024年の音楽聴取においてもまた重要になりそうな気がします。音響、ノイズ、ドローン。その系譜。そんな世界で音響音楽はすべてレクイエムのように響きました。「不在」への鎮魂として…。

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「2023年 ベストアルバム 40」

 

Kali Malone『Does Spring Hide Its Joy (feat. Stephen O'Malley & Lucy Railton)(Ideologic Organ)

永遠と縮減。5時間におよぶ持続と変化は、同時に一瞬の、音響の、連鎖でもある。作曲と持続。音響と演奏。弦、ギター、エレクトロニクス。ドローン音楽の理想と尖端とでまいうべきか。2023年1月にリリースされたこのアルバムが、私の今年のベストです。時を綴る氷の音響。このアルバムの硬質な響き、持続、変化と共に2023年の日々があった。

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Sarah Davachi『Long Gradus: Arrangements』(Late Music)

4時間にわたって変奏されるドローン音楽。聴くほどに時間軸を意識させられる音響。ドローンにおける作曲をストイックに提示する。弦楽四重奏団Quatuor Bozziniによる演奏と他編成での録音を収録している。Quatuor Bozziniのどこか神経質で美麗な演奏・音響もとにかく素晴らしい。

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Quatuor Bozzini『Éliane Radigue: Occam Delta XV』(qb)

こちらもQuatuor Bozziniの演奏作品。そしてÉliane Radigueの作品。とくれば悪いわけがない。まさにRadigueの音。その持続、その微かな揺れ。その響き。硬質な音の中の柔らかさがある。空気、弦の微かな揺れが類稀な音響、やがて類稀なアンビエンスが生成される。

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François J. Bonnet & Stephen O'Malley『Cylene II』(Drag City)

幽霊の「存在」のような音響。ドローン、エレクトロニック・ギターとシンセサイザーによる交感的演奏。霧のむこうにある不穏と不安が空間に浸透していく。

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Deathprod『Compositions』(Smalltown Supersound

幽霊の「存在」ような不可思議なアトモスフィア。生成と無音。持続しない持続。消える音。残像のような響き。そこには「ない」波と空気の音響の交錯。これこそ闇夜の音。メタリック・アトモスフェリック・ドローン。

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Laurel Halo『Atlas』(AWE)

夕暮れとき、世界が「青の時間」に染まる瞬間のアンビエント/アンビエンス。音楽と音響の美しい交錯は、しかしこの「世界」のためにある。そう、これはこの世界への、そしてあの人への、あの時間への、言うならば21世紀の、あの夕暮れに満ちていた青い光の時刻にむけてのレクイエムなのだ。声のないレクイエム。それは…。聴いた数ではカリ・マローンのアルバムと並ぶ。おそらくは2020年代ベストにも選ばれるに違いない傑作と思う。

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Ben Frost & Francesco Fabris『Vakning』(Room40)

フィールド・レコーディングが崇高な領域なまでに深化した途轍もないアルバム。世界の生成へ。環境音ノイズ。環境音ドローン。環境音インダストリアル。環境音ダーク・アンビエント。エクスペリメンタルミュージックにおける「神的」存在のアルバムがここにある。強烈な音響空間。

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Lucy Railton『Corner Dancer』(Modern Love)

現代音楽とサイケデリックは60年代においてそう遠い関係ではなかったことを思い出させてくれる。音そのもの。ミニマム。一音。その拡張。サイレンス。サイケデリック。それは無音と音との関係性の追求でもある。これぞモダンミュージック。音楽はここまできている。

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Mieko Suzuki『ödipus, herrscher』(raster)

電子の舞踏。硬質な電子音響が炸裂する。物質と人間が交錯し、世界の不穏が浮かび上がるかのごときノイズ音響劇が優雅に展開されていく。電子音響の現在形。

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Jules Reidy『Trances』(Shelter Press)

なんて煌めくような音だろう。アコースティックなギターとデジタルグリッチが眩い光の中に交錯し、アンビエンスな感覚とプレグレッシブな感覚が交錯する。エレクトロ・コーステイックの結晶がここに。

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Carmen Villain『Music From the Living Monument』(Smalltown Supersound

夜のしじまに沈み込む幻想音楽としてのアンビエント。人形たちの宴の背後になっている音響の生成と消失。

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Alva Noto『This Stolen Country of Mine』(Noton)

彼のサウンドトラックは音楽と映像のあいだで不思議にいつも自律している。光と空気と電子の音響空間アンビエンス。

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Blanket Swimming『Cloudlands』(Open Colour Imprint)

約10時間に及び霧のような、光のような、空気のようなアンビエントコンポジション。時が溶ける。朝から夕暮れ。夜へ。「すべて」の時間に融解していくロングタイム・アンビエント

 

Jim O'Rourke『Hands That Bind』(Drag City)

〈Drag City〉からリリースされたこのアルバムは、Kyle Armstrong監督の映画作品の音楽だが、その音楽性の密度の高さ、繊細さなど彼のソロ・アルバムの中でも一際完成度の高い音楽に仕上がっていた。オルークが活動初期から追及してきた「映画/音楽」の傑作音響・音楽。

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Chantal Michelle『66 Rue L』(Warm Winters Ltd.)

NYのサウンドアーティスト/ピアニスト、シャンタル・ミッチェルの静謐なピアノと環境録音・エレクトロニクスとメキシコの即興演奏家/サクソフォニストのヘルマン・ブリンガスのサックスが音響空間の中で溶けあうように交錯する。暗いジャズと現代音楽とフィールドレコーディングが空気を一変させてしまう。

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Aho Ssan & Nyokabi Kariũki『Rhizomes』(Other People)

ハイブリッド・インダストリアル。都市と不穏。抵抗。運動体。カオティックなアナーキズム運動体としてのサウンド・ユニットのリゾーム的説毒。この現代に生きるものたちのビート、ノイズ、ヴォイスがここにある。闘争とダンスと声の交錯、いわばリゾーム

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Shapednoise『Absurd Matter』(Weight Looming)

ハードコアなノイズ・インダストリアル・ヒップホップの極北。これもまた「尖端」音楽の系譜だろう。強烈。モダンの先のハイ・モダン。それは激しくもクールな無名性の炸裂か。それはいわば不穏の時代のサウンドトラック。

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Claire M Singer『Saor』(Touch)

幽玄な質感のアンビエント/ドローン。まるで教会で奏でられる音楽のようなドローンともいえる。心を清めるように音を浴びる。音を聴く。心身の調律のように。

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Flora Yin-Wong『Cold Reading』(Modern Love)

コラージュされる音響によるアジアの記憶。京都。韓国・幻想と現実の交錯による音響空間が美しい。これもまた「尖端」の現在形。

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Christina Giannone『Reality Opposition』(Room40)

音の粒子によるデジタル・ドローン。まるで雪の結晶か、光のシャワーのようなサウンドスケープが美しい。浮遊するような時間と持続がたまらない。

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Pita & Friedl『Pita / Friedl』(Karlrecords)

ZeitkratzerのリーダーReinhold Friedlとピーター・レーバーグのデュオアルバム。2021年、ピタが急逝する直前のレコーディングが収録されている。硬質な電子音響の優雅にして強靭な交錯。無調のピアノが美しい。クナセキスの継承とは言い過ぎだろうか。

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Radian『Distorted  Rooms』(Thrill Jockey/Headz)

マシン。ヒューマン。ロック。90年代のトータス以降、「歴史」以降の世界を進化させるポスト・ロックの現在形が眩しさと共に鳴り響いている。いやニューウェイブの継承か。同時にとても構造的な音楽だ。クール。

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Richard Chartier『Recurrence.Expansion』(Portraits GRM)
90年代後半以降の電子音響のひとつの到達点か。無機的な音が浮遊し持続する。澄んだ空気のようなデジタルドローンの結晶にして、ミニマル・ドローン・ミュージックの現在形。

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Mary Jane Leach『Wood wind  Multiples』(Modern Love)

計9本の管楽器の合奏によるドローン。NYのベテラン・サウンド・アーティストが鳴らす優美なドローンは旋律も和音もすべてが1音の中に溶けていくような豊かさがある。

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Áine O'Dwyer『Turning in Space: Motorwave』(Blank Forms Editions)

フィールドレコーデイングを崇高な音にまで深めていく音楽家の2023年作のひとつ。まさにサウンド/シネマ。

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Perila『On the  Corner of  the  Day』(Shelter Press)

夢と現実の境界線のような、現実と夢幻の環境録音作品。薄明かりの光のような、もしくは太陽の光に世界が白化するような音響。

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Kate Carr『Fever  Dreams』(Mana)

柔らかで抽象的な電子音と環境音が乾いた音響の空間をつくりだす。最小限の音の、不規則な連なりが、しかし心地よく鳴る。

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Lisa Lerkenfeldt『Shell  Of  A  City』(Room40)

冷たいコンクリートのようなドローン/アンビエント。聴くほどに都市の質感を抽象化したような感覚を得ることができる。

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Cindytalk『When the Moon is a Thread』(LINE)

ここにきてCindytalkがデジタル・ノイズ・ドローンの名品をリリースした。時間と空間に浮遊するような音の粒子、持続。

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Samuel Reinhard『Two  Pianos and  String  Trio』(Präsens Editionen)

スイスのサウンドアーティストによるピアノと弦楽三重奏による音楽。現代音楽的な楽曲の向こうに微かに聴こえる空間のざわめき。これもまたout of noiseな音楽。

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Pjusk & Arovane『Svev』(Polar Seas)

ノルウェーのPjuskとドイツのArovaneのコラボレーションが予想外に良かった。近年アンビエント化したArovaneとPjuskのサウンドの相性が抜群で精密かつ美麗なアンビエント・ダブに仕上がっている。深く沈み込んでいく美的音響空間。

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Philip Jeck & Chris Watson『Oxmardyke』(Touch)

亡きPhilip Jeckのフィールドレコーディング音源をChris Watsonがまとめた最高の環境録音作品。・世界/音の生々しさにうたれる。

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Slikback『T a P E S T R Y』

ナイロビ・ケニアから発せられた今年最高最強のテクノイズ。炸裂する電子ノイズには、「無」と「感情」が同時に炸裂生成されて聴き手を直撃する。この作品もまた今の時代特有の「エモーショナル・ノイズ」が横溢している。

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Khanate『To Be Cruel』(Sacred Bones Records)

殺気と沈黙。音響とノイズ。空間と静寂。空間とノイズを切り裂く脅威の復活作。緊張感に満ちたまるで武満徹のようなメタル/ドローンの傑作である。

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Yara Asmar『Synth Waltzes and Accordion Laments』(Hive Mind Records)

レバノンのアーティストのアルバム。電子音にアコーディオンに声。親密な幽玄なアンビエント・クラシカル。黄泉の国から聴こえるような歌曲のような音楽性。強く深く美しい。

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KMRU『Dissolution Grip』(OFNOT)

コロナ以降の世界を生きたものは、ロックアウトされたあの時期の記憶を持ち続ける、それはアンビエント・ドローンにも反映され続ける。エモーショナル・アンビエント

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Kassel Jaeger『Shifted in Dreams』(Shelter Press)

INA GRMのKassel Jaegerの新譜はこれまでよりもさらに夢の中のようなムードに。心地よく、しかも幻の空間を彷徨うな音響。

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Beatriz Ferreyra『UFO Forest +』(Room40)

60年代にシェフェールのアシスタントとしてGRMに入社した電子音楽家の最新作。オーセンティックな電子音響が、その本質を維持しつつ、さらに未知の音響へと拡張していくさまを、サウンドの隅々から聴き取ることができる。

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Voice Actor『Fake Sleep』(STROOM.tv)

オランダのデュオによるどこかASMRを思わせる声と電子音とコラージュによる夢のようなイメージのエレクトロニカ

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Jérôme Noetinger & Anthony Pateras『15 Coruscations』(Penultimate Press)

硬質な電子音楽、その15のコンポジション/バリエーション。煌めくような電子音が、無機質に鳴り響く。

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Ryuichi Sakamoto『12』(Commmons /Milan)

最後にランク付けから離れた例外的に特別なアルバムを置いておきます。このアルバムの音は、日々の音、時間、空気のようです。漂う時間がある。日記のように現在進行形の音楽としてまずは世に出たことを忘れてはならないと思います。

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1-10

Kali Malone『Does Spring Hide Its Joy (feat. Stephen O'Malley & Lucy Railton)(Ideologic Organ)
Sarah Davachi『Long Gradus: Arrangements』(Late Music)
Quatuor Bozzini『Éliane Radigue: Occam Delta XV』(qb)
François J. Bonnet & Stephen O'Malley『Cylene II』(Drag City)
Deathprod『Compositions』(Smalltown Supersound
Laurel Halo『Atlas』(AWE)
Ben Frost & Francesco Fabris『Vakning』(Room40)
Lucy Railton『Corner Dancer』(Modern Love)
Mieko Suzuki『ödipus, herrscher』(raster)
Jules Reidy『Trances』(Shelter Press)

 

11-20
Carmen Villain『Music From the Living Monument』(Smalltown Supersound
Alva Noto『This Stolen Country of Mine』(Noton)
Blanket Swimming『Cloudlands』(Open Colour Imprint)
Jim O'Rourke『Hands That Bind』(Drag City)
Chantal Michelle『66 Rue L』(Warm Winters Ltd.)
Aho Ssan & Nyokabi Kariũki『Rhizomes』(Other People)
Shapednoise『Absurd Matter』(Weight Looming)
Claire M Singer『Saor』(Touch)
Flora Yin-Wong『Cold Reading』(Modern Love)
Christina Giannone『Reality Opposition』(Room40)

 

21-30
Pita & Friedl『Pita / Friedl』(Karlrecords)
Radian『Distorted  Rooms』(Thrill Jockey/Headz)
Richard Chartier『Recurrence.Expansion』(Portraits GRM)
Mary Jane Leach『Wood wind  Multiples』(Modern Love)
Áine O'Dwyer『Turning in Space: Motorwave』(Blank Forms Editions)
Perila『On the  Corner of  the  Day』(Shelter Press)
Kate Carr『Fever  Dreams』(Mana)
Lisa Lerkenfeldt『Shell  Of  A  City』(Room40)
Cindytalk『When the Moon is a Thread』(LINE)
Samuel Reinhard『Two  Pianos and  String  Trio』(Präsens Editionen)

 

31-40
Pjusk & Arovane『Svev』(Polar Seas)
Philip Jeck & Chris Watson『Oxmardyke』(Touch)
Slikback『T a P E S T R Y』
Khanate『To Be Cruel』(Sacred Bones Records)
Yara Asmar『Synth Waltzes and Accordion Laments』(Hive Mind Records)
KMRU『Dissolution Grip』(OFNOT)
Kassel Jaeger『Shifted in Dreams』(Shelter Press)
Beatriz Ferreyra『UFO Forest +』(Room40)
Voice Actor『Fake Sleep』(STROOM.tv)
Jérôme Noetinger & Anthony Pateras『15 Coruscations』(Penultimate Press)

 

Ryuichi Sakamoto『12』(Commmons /Milan)

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2023年12月のアルバム

 

 

 

 

 

 

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2023年12月のアルバムは12月15日で区切ります。16日以降は2024年分のアルバムとしてカウントするようにします。とはいえ来年はもっと数を絞ってアップしていこうと思います。いわゆる厳選ですかね。もうしばらくしたら2023年ベストもアップします。こんな過疎ブログですが見てくれてる人がいると嬉しいです。